文化人類学[カレッジ版] 第2版

文化人類学―カレッジ版

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健康であることの具体的な内容も、医療の発達によって、変化する。たとえば、人間ドックの検査結果が基準値よりもはずれていると「(健康と病気との)境界領域」とされたり、遺伝子診断が発達すると、当人はまったく症状を示していないとしても、高い可能性でその人の子どもは症状を持つことが予測されることによって「健康」とみなされないこともおこりうる。

おそらく、人間は、具体的な人物の死からは離れた抽象的な死の観念を育てており、それとみずからの死や自分にとってもっとも大切な人の死を結びつけて考える能力を持っているらしい。